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2005年 05月 15日
ブログにアップするのは初めての創作物。
原稿用紙約2.3枚のSSです。 その異変に気付いたのは、短い夢から覚めた直後だった。自分が二度寝していたらしいことを悟る。 見慣れた自室の天井。障子から漏れる昼間の陽光。しかしどこか異質な空気。 ――金縛り。 嫌な直感は的を得ていたようで、体はぴくりとも動かなかった。二度か三度か、以前も金縛りに遭ったことはある。その経験から来る余裕だろうか、楽に構えることにした。どうせすぐに終わるだろう。幸いにも今日は休日、のんびりしようじゃないか、と。再び視線を天井に戻す。 春の陽気に、布団にくるまり惰眠をむさぼる心地よさ。どこか気だるさを孕み永遠さえも感じさせるような。 むしろもう一度寝てしまおうかと考える。三度寝だ。刹那、 ――ずるりと、視界がぶれた。 息を呑む。 何が起こった? 辺りに意識を巡らせる。 もう一度。 何かに、引き摺られた、気がした。 警鐘が鳴る。これは、危険だ。引き摺り込まれる――。 幽霊、地獄、冥界、闇、神隠し……。日頃書いたり読んだりしているだけの、ただのネタ、ただの設定。現実的な質感と重みを以って、瞬時にそれらが脳裏を巡った。 動け、動け。腕に力を入れてみても、ぴくりとも動かない。力んでいる感覚さえない。 右の頬と右腕に引っ張られているような感覚があった。視界がぶれる。何者かに、何処かに連れられようとしている。 もう一度、力を入れる。また、動かない。 動け、動け動け動け。根拠の無い恐怖感が、目の前に鎮座する。 ――ふと、自分を引っ張る力が消えた。 体は問題なく動く。布団から起き上がった。時計を見れば、まだ八時を過ぎていない。ただ、少し気味が悪くなって、リビングがある階下へ降りていく。まるで呆気ない顛末に肩透かしを喰らったような、しかしどこか安心な。いつもどおりの休日のはじまり。 未だ、右頬と右腕に麻痺したような感覚が残っていた。
by itsuki258
| 2005-05-15 00:04
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